高川先生「ハードドキュメント」授業を振り返って

暖かくなって花粉で視界がぼんやりし、「ああ春だな」と思ったのも束の間。翌日には小雪が舞うという季節の急ハンドル。
春はどこへ行ったのか……。
19期・秋モードの杉田です。

さて今回は、高川先生による「ハードドキュメント」の授業を振り返ってみたいと思います。

今回の授業では、事前にナレーションの入っていないドキュメンタリー映像をいただき、
「何度も見ておくこと」
という指示がありました。

何度も見て、考え、イメージを膨らませてから授業に臨む――
ドキュメンタリー作品と向き合うための準備です。

授業ではまず、高川先生からドキュメンタリーについての説明がありました。

ドキュメンタリー番組には、必ず作品としての主張やメッセージがあります。
・映像
・音
・取材した記者
・取材対象
などなど、それぞれが、それぞれの意見や立場を持っています。

そこには
賛成意見もあれば反対意見もあり、
対立もあれば、それを支える人や背景もある。

そうした様々な要素が集まり、ひとつのドキュメンタリー作品としての大きな主張が生まれる。

ナレーターは、
「番組が何を言いたいのか」を感じ取る。
そのうえで、自分のナレーションがこの作品にどう関わり、どう加担できるのかを探っていくのだそうです。

そのためにはまず、
映像や原稿という素材から自分が何を受け取るのか
そこからスタートする。

今回の授業は、まさに高川先生が実際に行っていらっしゃるアプローチを体験させていただく内容でした。

映像は事前に見てきましたが、原稿はもちろん当日渡し。

ここから授業が始まります。

まずは、生徒全員で順番に原稿を
「棒読み(素読み)」していきます。

この棒読みは、演劇の稽古で最初に行われる「素読み」と同じもの。

高川先生曰く、
・電話帳を読むように無機質に読む
・句読点も気にせず、
・ニュアンスもつけず、
・ただゆっくり、黙読を音にしていく。

その際に、
・映像と印象が違うところ
・つながりを感じたところ
・なんとなく気になったところ
など、自分のセンサーが反応した部分にチェックを入れていきます。

ゆっくり無機質に読むことで、ストレスや違和感が生まれてきます。
その「引っかかり」こそが、自分のセンサーが反応しているポイントなのだそうです。

この棒読みは、表現のための読みではありません。
インプットのための読み。

この番組のメッセージに対して、
・自分はどう関われるのか
・どんな立ち位置なのか
・どんな距離感なのか
それを探るための読みです。

事前に映像を見てテーマは整理してあります。
そこに原稿が加わることで、
「自分はどうアプローチできるのか」
という関係性を探っていきます。

実際、素読みを二度三度と繰り返していくと、
棒読みをしているにもかかわらず、変化が生まれる部分が出てきました。
これはとても不思議な体験でした。

棒読みを数回繰り返したあと、今度は
原稿を見ずに映像だけを見る。
高川先生はこれを
「映像と出会い直す」
とおっしゃっていました。

原稿を読んだあとで映像を見ると、最初に見たときとは受け取る情報や印象がまったく変わるのです。
同じ映像なのに、違う作品を見ているような感覚でした。

そして実際に、映像にナレーションをつけていきます。
しかし、やってみるとどうしても
「説明のナレーション」
になってしまう。

何かをやろうとしたり、単語を立てようとすると、途端に紹介や解説のナレーションになってしまうのです。

そこで改めて思い出すのが、今回のアプローチ。
・事前に整理したメッセージ
・素読みで引っかかった部分
・映像から感じた距離感や肌触り
それらをもとに、
「この作品にどう接するのか」
を感覚で受け取る。

最終的なパフォーマンスは、そこから自然に変わってくる。

高川先生は、非常に感覚的な内容を、
私たちに伝わるよう丁寧に言葉を探しながら説明してくださいました。

印象的だった言葉の一部を紹介します。
・言葉と向き合うと、言葉の働きは増えていく
・同じ部分を素読みしていると、心が動き関係性が生まれる
・技術に意識を向けすぎると雑念が出る
・映像→素読み→もう一度映像、で見え方が変わる
・アプローチが変わるとナレーションのニュアンスも変わる

先生からアドバイスをいただくと、クラス全員のナレーションが劇的に変化しました。

ドキュメンタリーでは、
「どうしゃべるか」
よりも
「何を伝えようとしているのか」
が重要。

今回のアプローチを通して、
・番組が伝えたいこと
・ナレーションの役割
・自分なら何ができるのか
というナレーターとしての意図を持つことができる。

そして、この「ナレーターの意図」があるからこそ、キャスティングされることも多いのだそうです。

俳優がドキュメンタリーのナレーターに起用されることが多いのも、この「意図」を強く打ち出せるからではないかとのことでした。

もう一つ印象的だった言葉があります。
ナレーターは楽器。
だから常にメンテナンスが必要。
・滑舌
・発声
そうした基本的な技術を鍛え、表現としてラッピングしていく。

しかし、
プレイ中はそれを忘れる。

メンテナンスしながらプレイはできない。
それは、野球をしながら筋トレするようなもの。
ナレーション中は完全に切り離すこと。

最後に
ナレーターとしての立ち位置や距離感は、一番説得力のある場所を選び
感じたものを信じて、映像とシンクロして声を出す。

そして収録では、
それらをいったん忘れ、初めて映像と原稿に出会った感覚でプレイする。

授業後も先生は私たちの質問に丁寧に答えてくださいました。

今回の授業はとても感覚的で、文章で伝えるのが本当に難しい内容でした。

それでも先生は、私たちに伝わるよう言葉を選びながら、何度も丁寧に説明してくださいました。

このブログだけでは全く伝えきれないのが、本当に残念です。

ナレーションは「どう読むか」ではなく「どう加担するか」。
その視点を忘れずに、これからも映像と向き合っていきたいと思います。

高川先生、貴重なご指導をありがとうございました!

大江戸先生「バラエティの映像理解」授業を振り返って

各地の水瓶が渇水するなか、ようやく恵みの雨が…と思いきや、気温が一気に急降下。寒さに異常に弱い者にとっては、もはや生存確認必須レベルの今日この頃。 19期・秋モードの杉田です。

さて今回は、大江戸先生による「バラエティの映像理解」の授業を振り返ってみたいと思います。

今回は、先生が用意してくださったさまざまなバラエティ番組の原稿をランダムに選び、その場で読んで録音していただくという、なんとも実戦的な内容でした。 心の準備? そんなものはありません。まさに「現場仕様」全力でやるだけです。

順番に読み進めていく中で、今回も一人ひとりの声質や特性、プレイの傾向に対して、丁寧かつ的確なコメントをいただきました。

今期最後の授業ということもあってか、先生の言葉はいつも以上に熱を帯び、名言が続出。
メモを取る手が止まらず、「もう一本腕がほしい」と本気で思いました。

特に印象に残った言葉を、いくつか抜粋します。

・ナレーションごとに視聴者層を意識し、適した表現を選ぶ
・シーンごとに読み分け、対比を出す。そのためには「強烈なギャップ」を作る
・足したら引く。一ページの中でも表現を変えていく
・どんな番組でもタイトルは格好良く
・感動を伝えたいなら、あえて「抜きどころ」を作る。緊張感だけでは感動は生まれない
・定数的・不変的な表現を知る。売れている人を聴き、共通項を探す

そして、個人的にグサリと刺さったのがこの言葉。

「やり切ったと思うナレーションほど、だいたい良くない」

力を抜いて、「早く終わって帰ろう」くらいのモチベーションのほうが、うまくいくことが多い。
…なんという真理。

さらに、

・抑揚は一瞬で切り替えると耳を引く、準備して音を上げると古く感じることがある
・張りのパターンを持つ。ただし絵に合った強さで(やりすぎは危険)
・印象的な言葉を上げるか下げるかは前後の構成次第。大事な部分だからこそ上げない選択肢もある
・「何をやるか」より「何をやらないか」
・感情やドラマ性が優先される原稿では、ハッキリ読みすぎると物語が瓦解する

どれも、現場を知り尽くした先生だからこその言葉でした。

先生はご自身の体験を交えながら、ユニークかつ具体的に伝えてくださいます。笑いもありながら、内容はとにかく濃い。
まさに「熱量で殴られる授業」。

そして先生は練習についても言及してくださいました。

とにかく実践あるのみ。
読む。しゃべる。ナレーションする。ひたすら繰り返す。

悩んでも、落ち込んでも、とにかく読めばいい。
読めば、あっという間にうまくなる。

そのために、

・常に録って、聞ける環境を作る
・録る → 聞く → 比較する → テレビを見る

このサイクルを回すこと。

やれば、確実にうまくなる。
やらなければ、変わらない。
シンプルで、土臭い、でも一番強いやり方。

誰かを徹底的に模倣する。
その人をイメージするだけで、プレイは変わる。

目指す場所が同じなら、似てくるのは当然。
技術を極めれば、どこかの「権威」に行き着く。

ミスマッチだからこそ、ベストマッチが生まれることもある。
化学反応を恐れない。

ミラーリングも、パクリも、どんどんやる。
分解して、分析して、自分のものにする。

上達に直結するのは、とにかく練習環境を整えて24時間ナレーターになること。
結局は、土臭いことをどれだけやれるか。

先生のナレーションそのもののように、熱く、濃く、エネルギーに満ちた時間でした。

これまでの自分は、とにかく「持ってるもの全部出して全力でいろいろやろうぜ」スタンス。
ですが今回のアドバイスで、「何をやらないか」を選ぶ「定数」は変えない
という意識が芽生えました。

もしかしたら、ひとつ階段を上がれるかもしれない。
そんな予感を抱けた授業でした。

大江戸先生、貴重なご指導をありがとうございました!

あおい先生「旬の実技」授業を振り返って

どんどん気温が上がり、春一番が花粉とともに吹き荒れる今日この頃。着る物にも花粉対策にも頭を悩ませる季節ですね。
とはいえ、まだ何度か寒い日が戻ってきそうで、衣替えの決断ができません。
19期・秋モードの杉田です。

さて今回は、あおい先生による「旬の実技」授業を振り返ってみたいと思います。

今回先生がご用意くださった原稿は、実際にあった事件・事故をミステリー仕立てにしたゴールデンタイム番組のナレーション。
緊張感たっぷりの題材に、教室の空気も少しだけピリッと引き締まります。

番組の簡単な説明を受けた後、順番に読み進めていきました。

まず印象に残ったのは、
「ふさわしいナレーションをすれば数字がついてくるわけではない」
という言葉。

実際にあった事件・事故ということで、そのまま読めば暗く、深刻になりがちです。
けれど、それだけでは視聴者を引き込むことはできない。

ぐっと要所でニュアンスを込める。
ナレーターは番組の「温度調整係」。
ナレーションで薪をくべ、視聴者の熱を上げていく立場なのだということ。

このパートはどんな場面なのか?
どんな役割を持った場面なのか?
どう伝えるのが適切なのか?

それを理解したうえで、場面に合った表現を選ぶ。
ひとつの方法で押し切るのではなく、重要なポイントが浮かび上がるように、表現を意識する。

「読む」のではなく、「伝える」。

この言葉が、胸にずしりと響きました。

あおい先生のロジカルで細やかなアドバイスによって、同じ原稿とは思えないほどナレーションの印象が変わっていきます。
ほんの少しの意識の違いで、こんなにも変わるのかと、内心何度も「おお…!」と唸っていました。

さらに印象的だったのは、

いったん読み手の中に言葉が入り、フィルターを通して出てくるからこそ、個性や面白さが生まれるということ。

「読みの形」にとらわれすぎると、ただ文字を追っているだけになり、中身が空洞になってしまう。
これはつい忘れがちですが、非常に大切な部分だと教えていただきました。

だからこそ、自分自身で自分のナレーションを聴き、
「魂がこもっているか?」
と判断できるようになることが重要。

上手い・下手ではない。
生きているナレーションかどうか。
伝わるナレーションかどうか。
そこに決定的な差があるのだと。

また、どんな技術も「常に使う」のではなく、「使いどころで使う」からこそ効果が出るというご指摘もありました。

そしてさらに
「ここで気持ちを入れよう」という発想の危うさについてもご指摘いただきました。

まずは、基本であるクリアな抑揚をしっかり身につけること。
そして何より、「視聴者に伝える」というイメージを絶対に忘れないこと。

生徒一人ひとりに、さまざまな角度からアプローチしてくださるあおい先生。
ときどき実演してくださるナレーションが素晴らしすぎて、そのたびに耳が大きくなった気がします。

あおい先生は授業後に、
「自分で判断できる、足腰の強いナレーターになってほしい」
とおっしゃいました。

バーズの教えにある「自立」。
まさにこの部分だと感じました。

自分と向き合い、常に進化し続けること。
それが、あおい先生のような「足腰の強いナレーター」への道なのだと、胸に深く刻まれました。

あおい先生、貴重なご指導をありがとうございました!

ボイスサンプル収録で「エコノミー」担当の小枝さんに「ビジネス」コースを依頼 したお話

おはようございます。19期モードクラスの沢井由(さわいゆう)です。

今回ボイスサンプル収録においてイレギュラーな申し込みをしたため、「こういう時こそブログをアップするチャンスだ」と偉い人からご指摘がありましたので「由(ゆう)、書いちゃいなよ」なんて言い方をされたわけではありませんが、執筆しております。

従来スタジオバーズでボイスサンプル収録を依頼する場合、「エコノミー」か「ビジネス」を選んで、担当の先生にお願いする流れになります。担当の先生はコースごとに決まっています。イレギュラーな何をしたかというと、本当は「エコノミー」担当である小枝さんに「ビジネス」の内容でお願いした…ということでした。

コースの違いを簡単に説明すると、「エコノミー」は収録日の1日のみスタジオに出向き、「ビジネス」を選ぶと収録前に打合せの時間を設けてくれるので2日間の日程で予約を組んでくれます。

自分は自作の原稿を使うため、客観的な指摘が必須と考えており、「ビジネス」を依頼することは最初から決めていました。ではなぜ、本来「エコノミー」担当の小枝さんに「ビジネス」の内容でお願いしたのか。

理由は4つあります。【理由①】過去に3名の先生に収録を担当してもらったのですが、なるべく異なる先生のディレクションを受けてみたかった。【理由②】小枝さんはモードレッスンの補助で度々参加されていたので、沢井の一番直近の状態を知っており、かつ映像にナレーションを当てたものを観たことがあるのがボイサン担当者の中で小枝さんだけだった。【理由③】現場でMAミキサーの仕事をされており、普段から放送レベルの編集に触れている方なので、その技術力で編集されてみたかった。【理由④】レッスン中の言動から悪球打ちにも懐が深いと感じた(沢井はプレイヤータイプと言われた事がなく、クリエイタータイプだとよく言われる)。

といった理由から事前に許可を取った上で小枝さんに依頼した次第です。以前、他の先生に同様の依頼をかけたクラスメイトがいたので可能なのではないかと思い、お願いすることにしたのです。

聞いたところ、意外にも小枝さんが「ビジネス」を担当するのは初めてだそうで、何気に沢井が小枝さんの「初めての人」になってしまいました。

さて打合せですが、まず自己のプレゼンから入りました。少しでも解像度を上げてもらうために、今まで講師に言われてきた「総評」「評価の高かった点」に加えて「このボイスサンプルにした理由」「悩んでいる点」「前回作におけるMG陣からの指摘」そして時間が余れば「ミキサー技術について教えて欲しいこと」を文章化し、印刷してお渡ししました。

また過去のボイスサンプルや自分のHPにアップしているボイスオーバーカタログも聴いてもらいました。

そして収録予定の自作原稿もお渡しして、いよいよ細かい打合せのスタートです。

まずは「今回ボイスサンプル収録におけるテーマをはっきりさせよう」と言われました。加えて「誰に訴求したいのか」、「何を提案したいのか」という質問が。自分なりの考えはあったものの、改めて文字にする事で、より明瞭に自覚が芽生えると感じました。

そして自作原稿の内容や狙いを解説します。当然指摘が入るのですが、まず「映像が見えてこない」という感想でした。「絵コンテを考えて文章を構成したか?」という質問。うぅ…やってなかった…。テレビナレーションを目指すなら確かに必要な作業だと思いました。自分の気持ちの良い文章だけで構成してもライブ感が出ないのです。絵が想像できれば、フリやウケといった構成も深みを増すとのこと。更に「タイトルコールを意識したか?」「聴き手に寄り添って考えたか?」などなど原稿内容の共有作業が続きます。

テンポやトータル時間、構成順序まで最適となるようアドバイスをくれます。「ビジネス」は文章も一緒に考えてくれるコース。考えて来た原稿を最大限活かせるように修正がビシバシ入ります。なぜそうした方が良いのか、をテレビサイズで解説しながらアドバイスをくれます。説得力が違います。勿論自分からも遠慮せずに提案を入れます。

ミキサーさんならではの技術的な提案もいただきました。「え?そんなこと出来るんですか?」とビックリすることも。今回は原稿が長すぎたため、元の内容を活かしつつ短くする手法と、より印象に残すための提案でした。

そして、キーとなるワードの相談です。案件が来た時に、MGに存在を思い出してもらえなければ仕事を取れる確率は激減してしまう、という事をバーズにいる間、耳が痛いほど聞いてきました。例えば「〇〇案件」があったとして、「〇〇のボイサン録ってた人がいたな…」と。日常でもよくある「名前は出てこないけど、〇〇の人でしょ?」となるアレです。記憶に残る強烈なインパクトを残す事が大切になってきます。

なので、「このボイスサンプルで強く印象づけるキーとなるワード」の提案がありました。今回の場合は、2つのワードをとにかく記憶に残る構成にしようと提案を受けました。うち1つは決して綺麗なワードではなかったので、「これで構わないか?」との打診がありましたが、記憶に残るサンプルにするため受け入れました。

さて、修正原稿が出来上がったので、持ち帰って練習し、次回収録に臨みます。

日をあけて収録当日です。緊張しているので和ませてくれます。さぁブースに入りテストです。ここでもこだわりを見せてくれました。「最近のマイクは高性能だから大抵の音は拾ってくれる」。これは業界で何度も耳にする言葉です。しかし小枝さんのこだわりは更に上を見せます。「個々によってマイクのベスト位置は違うのでそこを見つけて録りたい」と。何度かブースから原稿を読んでみたのですが、納得がいかないようで、何度もブースにやって来てマイク位置を微調整してくれます。え?そんな位置もありなんですか?知らなかった…。録ってもらう側からしたら、「ありがてぇなぁ…」ですよ。そして実際に録れた音を聴かせてもらったら確かに変化が。「コンプレッサー声」なんて言われたこともある自分の声がマイク位置によっては「こもりやすい」傾向がある事も初めて知りました。

読み進めながら、声質が活かせる喋り方やトーンなど、テレビサイズの経験値からどんどん良くなる提案をしてくれます。どこまで応えられていたかは分かりませんが、失敗しても嫌な顔は一切見せず(ブースから見えませんが)、クオリティを引き上げてくれます。

BGMもいくつも候補を聴き比べて選んでくれました。かなりの数の候補を選定してくれていたと記憶しています。

収録も終えると、編集作業が始まりました。マウスやキーを叩く音が速すぎて、また画面が速すぎて、何をやってるのかさっぱり分かりません。これでも自宅で宅録しますから多少の知識はあると思ってましたが、音声編集ソフトにそんな機能ありましたっけ?的な窓がいくつも出てきます。人間、次元が違うものを目にすると思考が停止するんですね。「ジョジョ2部のカーズ」みたいに考えるのをやめました。

BGMの選定や編集など総合的な理由で予定時間をかなりオーバーしてしまったので謝られたのですが、こだわって編集してもらった結果ですから、ひたすら嬉しいです。ひたすら感謝しかありません。

今回、小枝さんに「ビジネス」コースで依頼をかけて本当に良かったと思っています。従来の「ビジネス」コースの依頼だと、バーズの定期開催のイベント時期はおそらく先生一人に対して「なんじゅうぶんのいちの相談枠」だったと思うのですが、今回だけは相談枠を独り占めできたわけですよ。初めての「ビジネス」対応ということもあったのかも知れませんが、徹頭徹尾丁寧に対応してもらえました。このブログを読まれた方の中で、「私も小枝さんにビジネスで依頼してみようかしら」…って人が現れたら面白・・・もとい良いですね。長々と文章を書いた労力も報われます。その際はイレギュラー案件なので事前に許可が必要かと思われます。さて、ここまで読まれた方は凄いです。それでは。

逸見先生「ソフトドキュメント」授業を振り返って

寒かったと思えば急に春の陽気、と思いきや翌日はまた冬に逆戻り。まさに三寒四温を全身で体感する今日この頃。さらに毎年恒例の「観測史上初」「今年の花粉飛散量は前年度超え」というニュースを遠い目で聞いている19期・秋モードの杉田です。

さて今回は、逸見先生による「ソフトドキュメント」の授業を振り返ってみたいと思います。

今回は、スポーツドキュメントと、いわゆる「ザ・ドキュメント」の二種類の原稿。

まず、ひと口に「ドキュメント」と言っても実に多種多様であることを教えていただきました。
正統派の報道ドキュメント、バラエティの中にある「ドキュバラ」、人物や物事にじっくり迫るものなど、その幅は広い。

では、それぞれにどんな温度感で迫るのか?
ナレーターの役割や距離感はどこにあるのか?
ディレクターが求めているものは何か?

それらを踏まえた上で、
「取り上げられている題材が一番よく見える読みになっているか」
が大切だというお話がありました。

ドキュメントナレーションは、一見するとフラットでナチュラル、何もしていないように聞こえます。
しかし実際は、緻密な工夫が随所にちりばめられている世界。

「読んでいるように聞こえない」言葉運び、間の取り方、リズムの設計。
バラエティとはまったく異なる難しさがあることを、改めて実感しました。

一人ひとりの読みに対して、
「ドキュメント読みとして最も良い読み、音とは何か?」
を、丁寧に探りながらコメントしてくださる逸見先生。
それぞれがどの道を進めばいいのか、そっと道しるべを置いてくださるような指導でした。

特に印象深かったポイントは
・真実味を与える音選び
・ドキュメントだからといって何もしないわけではなく、構成を考えながら計算して読むこと
・適切な距離感を保つこと
・強調は声の高低よりも、間やテンポでつくること
・煽る場合も、ドキュメントの枠をはみ出さないこと

これらを意識することで、読みは一気にドキュメントに近づき、より「豊かな表現」になるのだと学びました。

また、「タイトル読み」や「置きに行く読み」は、最低でも3パターンは持っておき、状況によって使い分けられるようにしておくと良いとのこと。 プロの引き出しの多さを感じるアドバイスでした。

読みに立体感を出すためには、ほんの少しの変化が鍵になる。
活舌をあえて甘くする部分、間をずらす部分、感情をほんの少しだけ乗せる部分、テンポを変える部分と大きく動かさなくても、微細な変化が「味」になる。

「癖」が出たり、「良い声を出そう」と意識しすぎたりすると、途端にドキュメントらしさが消えてしまう。
自分が読みやすい原稿、自分の声が映える曲調やテンポ、楽器との相性を知っておくこと。
言葉の意味や内容に引っ張られすぎないこと。
そして、普段の自分のしゃべりを把握した上で、「ドキュメントっぽい音」を探すこと。

逸見先生ご自身の経験を交えながら、具体的にお話ししてくださいました。

そんな濃密な授業の最中、なんと学長が教室に登場。
授業の最後に、逸見先生と学長による「ドキュメント談義」。
なんとも贅沢な時間でした。

・ドキュメントは想いを込めて読みたくなるが、意味を込めない、意味を読まない、逆に重い言葉は軽く読むことが大切。
・朴訥さはドキュメントの武器。
・ドキュメントでは絵が語っているのだから、ナレーターは引く。
・「個性」や「いい声」を聴かせようとするスケベ心こそ最大の敵。
・ただし、別枠は存在するからこそ、自分の声やしゃべりを追求することは必要。
・活舌の良さやいい声を聴かせることを目的にするのは、プロはやらない。

一つひとつが胸に刺さる言葉でした。

授業を終えて、ドキュメントナレーションというものの輪郭が、ほんの少しだけ見えた気がします。
まだ霧の中ではありますが、確実に何かは掴み始めている感覚です。

もっと自分の普段のしゃべりを研究し、ドキュメントナレーションとの接点を探っていきたいと思います。

義村学長、逸見先生、貴重で深いご指導を本当にありがとうございました!

「スポーツの王道」授業を振り返って

ついに始まったミラノ・コルティナオリンピック。メダルラッシュの日本に胸を熱くしつつ、諸先輩方のスポーツナレーション研究にも勤しみ、寝不足が続いて目はまっかっか。 カフェインと情熱でなんとか持ちこたえている、19期・秋モードの杉田です。

さて今回は、田子先生による「スポーツの王道」の授業……
だったのですが、生徒からのリクエストにより、なんと内容はバラエティ原稿に変更。
こうした柔軟さも、バーズの大きな魅力だなあと改めて感じました。

ということで、授業内容はバラエティ番組のワンコーナーを、初見で映像に合わせて読むというもの。

まず一度動画を確認
原稿は「アバン→内容説明→スタジオに振る」という、バラエティの基本構成。
楽しく、テンポよく、説明はわかりやすく、でも深刻になりすぎない。
不安をあおるところはきちんとあおりつつも重くならず、あくまでバラエティなので笑いも欲しい
と内容について、田子先生から軽く方向性の説明を受け、順番にナレーション収録を行っていきました。

初見原稿ということで、大緊張に襲われるかと思いきや……
収録が始まると、田子先生のオモシロトークが炸裂。大爆笑の中で進むという、まさかのリラックス空間に。
緊張どころか、気づけば肩の力が抜け、楽しく収録に臨むことができました。

改めて、「自分がリラックスしてナレーションできる現場をつくる」という意識の大切さを実感しました。
技術だけでなく、空気づくりも含めてナレーターの仕事なのだと感じさせられます。

あっという間に全員の収録が終わり、その後は田子先生から「自分ならこうする」という具体的な解説がありました。

特に印象に残ったのは、
絵替わりする部分・しない部分の見極め、持ち時間がどのくらいあるのか、あるいはほとんど無いのか。その中で、どの文章がどんな効果を生み、どう視聴者に訴えかけ、どうやって面白さを仕込むのか というお話でした。

さらに、番組そのものを理解することの重要性
担当する芸能人の方がどう振るのか、MCにどう戻すのか
といった点まで踏まえた上でナレーションを入れ込むことが、番組全体を生かすことにつながるのだと教えていただきました。

その後は、収録した音源を全員で聴いていく時間に。
今回は初の試みとして、生徒同士が感想を述べ合い、そこに田子先生や、収録を手伝ってくださった小枝先生が補足コメントをしてくださる形でした。

普段は先生方からの講評が中心ですが、同じ立場の生徒の皆さんからの感想は、自分では想像していなかった視点ばかり。
思わずハッとさせられることも多く、非常に勉強になりました。

最後に総括として、田子先生からたくさんの大切な助言をいただきました。

・書いてあるタイムを気にしすぎない
・自分のタイムを書き込むこと
・タイムテロップ、音、効果音を自分でコントロールする意識を持つこと
・そこに自分のナレーションをどう入れ込むかを考えること
・原稿を一番面白く読むために、どんな読みが最適かを考えること

ただし、考えすぎるのはNG。
絵を見て、音を聞いて、自然に出てくるものをそのまま出すのが「個性」につながる。
そのためにも、普段から表現力や声のコントロールを研究し、原稿を見た瞬間にスムーズに
「一番適当な表現」
が出てくる状態を目指す。
そして、「辞めたら終わり。だから続けること」胸に刺さる言葉でした。

田子先生の授業は、楽しく学びが多いのはもちろんですが、それ以上に、ナレーターとして、そして一人の人間としての「在り方」を学ばせていただいている時間だと感じます。 誰もが田子先生を好きになる理由は、その人柄やたたずまい、この人と一緒に仕事をしたい、この人を現場に呼びたいと思わせる力を、まさに体現されているからだと思います。

田子先生のようになることは簡単ではありませんが、田子先生を目標に、少しでも近づけるよう努力を続けていきたいと思います。

田子先生、小枝先生、貴重で温かいご指導を本当にありがとうございました!