鹿野せんべいです、近況です。
何千人の中からピン芸人のナンバーワンを選ぶ大会の1回戦に出場しました。結果は敗退。でも、得た経験はプライスレスです。
わたしの出場した日だけでも約200人のエントリー。舞台裏では会場外の非常階段まで出演の順番待ちの芸人の列。その誰一人笑っている芸人はいません。真剣なのです。
頭の中で何度もネタのシミュレーション。背中から襲いかかる不安と緊張。目の前に迫る本番と開き直り。グルグル脳内を回っているうちに、頭が真っ白になってネタを忘れ、でも背に腹はかえられず、司会のルート33さんに呼ばれるまま表舞台へ。
スポットライトを浴び観客の表情もよくわかる舞台上、余裕ぽい表情の裏で忘れたネタを必死に思い出して何とかやる。自分が面白いと思ったくだりであまり笑ってもらえなかったり、逆に思いのほか笑ってくれる場面もあったり。そんな反応に一喜一憂しながら、ネタを噛んだり、忘れて間延びしたり。そんなわたしにリアルに嫌悪感まるだしの観客の方もいれば、暖かく見守ってくださる方もいて。
壇上から戻るとお礼を言ってすみやかに会場を去りました。そして着替えのために入った近くのホテルのトイレでやっぱり泣きました。
悔しかったから。本気で勝ちにいく気でいましたから。もっとできるはず、もっとオモロいはず。やのに、現実の自分はヘタレやった、小さかった、ビビリやった。自分も十分通用すると思い込んでいた見積もりの甘さに、浅はかさに。芸人さんの世界の大きさに、厳しさに、偉大さに。
わたしは、ナレーションで有望な人間ではありません。正直ナレーション以外の職業も視野に入れています。自分の可能性や、どこに入る余地があるのか。今回の出場も芸人になりたいというより、エンターティナーとして発信者として自分の良いところを虫眼鏡で探して大きくする作業、そんな経験の一部にしたかったのです。
約1年半前、奈良からバーズに入学するために関西の事務所を辞めて、これまで抱えていた仕事も全部辞めて上京しました。引っ越しやアルバイトの新しい生活。毎週授業のあとは明け方近くまで先生や仲間と飲んで語り明し、授業や半年に一回のボイスサンプル収録。
金銭面では貯金が一気になくなりましたし、肝心のナレーションではドキュメントとかストレートでバシッと読める人になるのが夢だったのに「ストレートや普通な感じでトップとるほど商品価値のある声でも読みでもない」ということが判明し、売れる可能性に賭けて自分のクリエーターな部分を極めることに。自分の場合、キャラを生かしたお笑い系で。ただ関西人でお笑いを尊敬していてネタ帳とか持ってたくらいで、それが自分の個性というほど特長があるわけでもないのに。ちょっとアホっぽかったし、サンプルはオモロんなかったらアカンやろっていう持論はあったのですけれど。授業も「上手くないコンプレックス」で、みんなの前で読むことや指摘がただただ恥ずかしくて怖くて先生方のご指摘もまともに聞けないし、自分でモノマネとかで音域や読みを見つけたり、自分を見つめる作業やネタ作りでもがいてあがいて、なんかいろいろ突っ走っていたら体調を崩したり。
正直、お笑いが好きとはいえナレーションは普通に読みたかったわけで、好きでクリエーターなところを極めようと思ったわけではないし、データ収集に創意工夫の連続は辛いし苦しいし。でも最終的には納得がいくまでつい自分を追い詰めてやってしまうからクリエーターなのかもしれないのですが。でも、すべての行動も思考も感情も自分を、売るため、よくするために、自分自身が選んでいることです。誰のせいでもない。だから、そこでいただいた学びや気付きは、何物にも変えがたい価値があります。
今後の不安で頭が狂いそうになったり、人の言葉に一喜一憂したり、女として恋愛とか結婚とかの幸せに揺れ動いたり、何もやる気がなくなったり、目先の感情はいつも穏やかではありませんけれど
人生という大河に身を置けば、エンターテイメントで生きていこうと決めた以上、退路はない、腹くくってやろうって。その場の状況や損得では決して揺らぐことのない軸
『覚悟』を持とう、と。
死んでも逃げない。だから大局でみればどんな出会いも出来事も経験も、自分を成長させてくれている、だからすべてが感謝です。
思考と行動の距離が短いので、思い立ったら行動。投げ方も速球ストレートのみ。痛い目を見て泣くのがオチが多いけれど、仕事も恋愛も精一杯やってみる。何かにならなければ何かをしなければ自分は欠乏している、というより、今の自分がどんな状況にあろうとも自分はすでに満たされている、自分を愛している。だからどんな行動に出てもどんな結果になっても、何も恐れることなく表現してゆこう。せっかく体があるのだから。嬉しいことも悲しいことも楽しいことも苦しいことも、感情のコントラストを楽しもうと思います。他人の言葉や世間体にとらわれずに。まずは期限をきめて。
結果、という重みを持った人間ではありませんが、そんな私にとってもバーズなしには今の自分はありません。それくらいの恩恵を授かりました。
今年一年もバーズのみなさまには本当にお世話になりました。そして仲間のみんなにはどれだけ元気づけてもらったか。先生方、仲間のみんな本当にありがとうございました。来年も更なる立志と行動で折れることなく、ただ、何かのどこかの可能性にかけて前に進もうと思います。
長文ごめんなさい。
どうか、皆様もよいお年をお過ごしください。