卒業生のキョージュ(もしくはバントー)です。
今回、山上さんに名前を挙げていただき、狩野さんに候補に出していただいて仕事をして参りました。TVCMのお仕事です。
全くの未経験者としてバーズに入所してから2年、アドバンスを受講し終わったこの春まで芸歴ゼロだった僕にとって初めてのお仕事でした。
現場を訪れるにあたって、このブログのスタジオ実録が大変参考になりました。
倣って投稿します。以下長くてすみません。
指定時刻の20分前にスタジオ前に到着。ちょっと早すぎるだろうと思い、灯りを探して近くのバス停でストレッチを始める。電車で2時間半、ほぼ座りっぱなしなので体をほぐす。おばさんが後ろに並ぶ。バスが来てしまう。乗らないのは変なので、忘れ物をした風を装ってその場を離れる。時計を見るとちょうどいい時間。
さて、スタジオの建物内部は、ホームページで確認していたとおりの配置。フロア入り口にはMAルームへの直通内線が置かれてあった。内線で担当の方に取り次ぎを願ったところ、内線電話を片手にどなたかが目の前のMAルームから出てくる。後の名刺交換で判明したのは、この方がミキサーさんであった。その方に待合のスペースへ通されたところ、こちらへ手を振っている狩野さんの姿が目に入る。緊張が一気に解れる。
前日の電話では「間に合ったら寄ってみるから」とのことだったので、現場では一人だぞ、と覚悟を決めていたのだ。時間を割いて来てくださったらしい。地獄で仏に会ったようとはこのことだ、いやこの場合女神か。
一息ついた後、スタジオに来るのは初めてであることを改めてお伝えする。「カフは分かるよね?」「分かります。見たことはありませんが。」「おぉーお」急遽ミニ講義開始。ここで教わったことが数十分後に役立つ。危なかった。
席を立ち、MAルームへ移動する前に、ナレーターとして初めて作った名刺を見ていただく。まだ営業をして仕事をするという段階ではないと思っていたので、営業ツールも急拵え。しかし、手にした名刺を一目見た狩野さんの顔がにわかに掻き曇る。「(アドバンスのレッスン内容が頭に)全然入ってない!」冷や汗が流れ出す。急遽アドバンス補講。スミマセン飲込みの悪い生徒で。
MAルームにいらっしゃったのはミキサーさんたちのみ。制作、監督、クライアントの方々は別スタジオから移動中とのこと。挨拶の後、狩野さんがさりげなくナレーターの座るべき席を指し示す。位置はアドバンスのレッスン通り。
ソファに座ってミキサーさんから演出コンテを見せていただく。実際のVのスナップショット、タイムコード、ナレーション原稿などが載っているもの。事前に頂いてあった絵コンテからの変更はなさそうだ、と一安心。話が途切れた頃合いをみて、狩野さんに小声で確認をしてから、ミキサーさんとの名刺交換をさせていただく。自分をナレーターと名乗るのは初めて。
ミキサーさんの苦労話等を伺っていると、監督と制作会社の方が現れる。監督がミキサーさんと話されている間に、PさんPAさんと名刺交換。
「一度見てみよう」との監督の声で、MAルームにVが流される。ナレーションが入っていないこと以外はもう出来上がっているVだ。ん?声を入れた方がいいのか?後半だけ声を出す。監督がジロッとこちらを見る。あー違うのか、と思った刹那、隣りの狩野さんがブンブン手を振る。ナレーターがプレイするのはブースの中だけですネ。勘違い。
クライアントの到着を待たずに声の収録が行われることになる。
ミキサーさんに誘導されブースの中へ。監督が後から入ってきて演出のプランを直接伝えられる。ミキサーさんがマイクの位置調整をして下さる。「いつもはこんな感じですか?」との問いに「それぐらいでちょうどいいです。ありがとうございます。」と返す。ブースが閉められる。あれ、ほとんど緊張していないことに気付く。いい感じ。ブースの外には味方がいる、心強い、と聞いていたのはこういうことなのかと知る。
監督に聞かれた「キュー要りますか?」は、先程狩野さんに教わったばかり。
素読みの後、幾度かのプレイ。もう一度という監督の声に続いて、「いきます」というミキサーさんの声。あぁ、ミキサーさんに助けていただいている。
最後に「はい、いただきました。」と監督。ほっとすると同時に少し寂しい。なんなんだろう、あの不思議な感じは。
ブースから出てすぐにMAルームを退出することに。このタイミングで狩野さんに促され、Pさんにお土産をお渡しする。
もしクライアントのダメが出た場合はリテイクになるとのことで、控え室にて待機すること数十分、いやもっとかな。その間、狩野さんと色々なお話しをさせていただいた。結局、そのままOKとなり収録は終了。時刻は日付の変わるちょっと前。その日は制作会社の方で用意して下さったビジネスに宿泊することに。
狩野さんとお別れするまでの途次、今回のスタジオおよびブースでの所作や言葉遣い、これからの課題等々たくさんのアドバイスを頂戴する。
こんな感じでした。
狩野さんの営業力と山上さんの技術力でいただいた今回の初仕事。最初から最後まで長時間隣りにいて下さった狩野さんには、感謝のしようがありません。
バーズのレッスンで学んだこと、ボイスサンプル作成過程でいただいたアドバイス、すべてが役に立ちました。
他人から聞いた話ならば「幸運な人もいるんだねぇ」と思うような出来事が、まさか自分の身に起こるとは。
スクールで学んだことをもう一度見直して、自分の力で仕事を取ることが出来るよう励みます。
2年間の総まとめとして初めて作成したボイスサンプル。
自分の現状を把握することも、ビジョンを設定することも、すべてはボイスサンプルをつくることから始まるのだなと実感したのは、スクールを離れる直前でした。僕の場合、覚悟が定まるまでにそれだけの時間を要したのですが、やはり遅すぎる。僕と同様の初心者がバーズにいらっしゃるならば、同じ轍を踏まれませんように。
講師、スクール生、多くの方々、やはり僕は人に恵まれているなあと改めて感じる今日この頃。ありがとうございました。