山上です。10/8(木)は記念すべき「レッスン初日」。実はそのほんの数時間前、”ボキの”ボイスサンプル収録をスタジオバーズにて行っていたのでありました。録るほうでなく録ってもらうほうです。もちろん「猪鹿蝶」用です(怒濤の収録をうけもったとして、ボキだけは超特例で締切後の応募を認めていただいたのでした)
狩野さんから「CMいくよ!」のお声をうけて以来、「マイホーム山ごもり」と称して毎晩誰にもナイショでひっそりと練習し続けていたプレイがあったのでした。満を持して、とうとう究極奥義を出す日がやってきたのです。
大窓王にカウンセリングをしていただき「やれンのか!?」とハッパもかけていただきやした。企画もok、秘技もok。霊験あらたかな箱根の夕日に向かって『準備バンタン、イブモンタン!』とも叫んできた。
今にして思えばイブモンタンとか言ってるあたりで、何らか暗示があったとも思うのです。
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さて明けてみたら実はまったくもって準備バンタンではなかった収録当日。さっぱり原稿ができてなかったのですが、それはそれ。テンパって「無の境地」にたった瞬間、イカす文章が自動書記で紙に書かれてあってビックリ。う~む、ナレーションの神さまって、呼んだら出てきてくんないくせに、ツンデレだなぁもう!
さてさて、こうなればあとはブースに入ってジョバジョバッと排出するのみ。謎配すっかりご機嫌です。
数分後。気持よく出し切った恍惚の私の耳に『うん、ぜんぶ間違ってるから。やりなおし』なるロートーンのお声が。がびーん。
あっれ~、おかしい…特訓の成果のナイスプレイで「自分も知らなかった新しい自分」にびっくりしてたくらいなのに。ミキサーをしていただいた伊藤先生も知らんプリプリで、スタジオ内に清々しい不穏な空気が流れましてね。
なんだろコレ。あ、アレか。小学校の時「あ、落としたよ」といって拾ってあげたちっこい紙をみたら「山上無視!」って書かれてた時の、あの感じか。オカン呼び出しか。
気をとり直して本日2度目のプレイへ。
再び、出し切るボキ。
大窓『だ~きゃぁらっ!普通にやれフツウに!お前はもう考えるなっ!何も!』
山智「ゆあ~ん」
大窓『お前はなんかやろうとした瞬間に、全部間違ってるんだって!”鏡”をちゃんと直視しなさいっ!』
山智「ゆよ~ん」
大窓『き…きいてんのくぁ~っ!』
山智「ゆやゆよ~ん」
厳しい愛のムチに、いよいよボキの心の中の中原中也がブランコを揺らし出します。
ううっ、フツウ…一生懸命フツウにやってるのに……・・(;´Д`)アアッ…
『フ、フツウなんて、どこにあるんですかっ!』
セツコ、待っとけよ。お兄ちゃんがフツウ、持って帰ったるからな。
「お兄ちゃん、ええフツウができたで、はい、おあがりー」
セツコ何してるのや、それはフツウやのうて自意識や!…く、食うたらアカン!!セツコーっ!
ブースという名の防空壕で、その兄妹は精一杯生きたのでした。
そして三たびブースに戻るボキ。
3度目の正直は実は「仏の顔も3度まで」であることを知るためにありました。
『いいですか。キミのフツウはそこです。”ちゃんと喋って”って言われたら、「なんにもしない」だよ、いいね?リピートアフターミー?』
「ナーニボ……しナーヒ…(´д`)?」
『そうそう、いいよいいいよ~、”なーんにも、しない”』
「ナーニほ…しナーイ……ナーンニモ!?…シーナーイッ!!」
『うんうん。何にも、しない。』
「ナーンニモ!ナーンニモしパーイ!ナーンニモシナーイ!うきゃきゃきゃー!」
こうしてヘレン山上はサリバン大窓王の鉄拳制裁で再び『水』を理解したのでした。
「いっつもスタジオで偉そうにして!こうして反対の立場におなりなさい!」
辻斬りの哀れな末路のごとく、これまでの悪行が浮かんでは消え浮かんでは消え…嗚呼。
どうりで昨日、人生で3回しか会ったことない大人しい女性にサシで『私、自信満々の人って大キライなんです…。……ウザいっていうか…』って大真面目に言われた訳です。彼女は俺のメーテルだったのね。
サリバン先生、伊藤先生、そしてメーテル先生すら含めて、ありがとうございました。