6期、7期と通っていた狼くんです。コピーについて思うことを自分なりにまとめてみました。
何か参考になれば嬉しいです。
『人のコピーをする』
「人の真似したら自分の個性ってなくなるんじゃない?」
「その人のコピーを作っても、もう居るから意味が無いんじゃない?」と言われる方、意見は多数あるかとおもいますが、それは人それぞれの意見として置いておいて、私は必要だと思いました。仕事にはそれぞれ専門分野がある様に、ナレーションでも、テレビ、CM、VP、ではまるで違う。よく「ナレーションなんて読むだけだから全て同じじゃないの?」と言われますが全然違うんです。私は四年前位は主にVPナレーションという企業研修を主としたものや、教材のVTRのナレーションをしていました。
数年前からそれまでやっていなかったCMや、副音声やテレビの仮ナレーションをやらせて頂く様になり、それまでとの勝手の違いに戸惑いました。いつもと同じにやっているはずなのに何かVTRと合っていない感じ。言葉は入っているのに何か違和感。でもその違和感が何なのか、自分では全然解っていなかったのです。違和感を脱する機会を得たのは
コピーという考えを学んでから。初めは嫌でした。何だか思う通りに読めないし、自分とは違う風に読んでいるのですから逆に違和感が増した感じ。こんな感じで読んでるの?ここはこんなに上げてるの?ひっくり返ってるけど?いやいやここは立てないの?跳ねてるし、下げてるし、めまぐるしいよー!!などなど。自分と人が頭の中でごっちゃになっている感じです。
全然自分のリズムでは読めないし、噛むわ噛むわ。そこで、、、、
一度 「自分」というものを捨ててみました。ぽいっ!!とりあえず
「人の流れに合わせてみよう」と、スルスルと文章は読める様になりました。でもすぐ自分が出て来るのでその都度ポイポイ捨てつつ、初めは流れのリズムを少しづつ口で覚えて、次はブレスをどこでとっているのか。慣れてきたら音の高さや、立てている所、語尾の処理の仕方、入り方、終わり方など。細かい所をその都度その都度気にしてみる。私は声自体を似せるのは苦手なので、流れやリズムを中心にしています。こんなに偉そうに書いてますが、まだまだ全然出来ません。
でも、発見がありました。
「人ってこんな風に読んでいるのか」
「こんなに自由に読めるんだ!」
「これ、カッコイイ!!、こんな風に読みたい!」
「私と全然違う。。。」
など。発見&ショックの連続です。
しかしそれを繰り返した後現場に行くと、それまで自分に無かったリズムや、発見がふと頭の中に浮かぶ瞬間が来る様になりました。「、、、あ、ここはあの人のこれを使ってみようかな?」
「、、、この入り、カッコイイな。あの時に真似してみたナレーションでもっと盛り上げられないかな」
かといって、完璧に表現出来るとは行かないのですが。でも引き出しが増えるといいますか、コピーしたものと自分の読みを組み合わせた所で自分なりの『提案』がポコポコ浮かぶ様になってきました。
そしてその姿勢というのは伝わる様で、前よりも仕事自体が続いて行く様になりました。
話は変わりますが、私は前に日本舞踊を習っていました。その時繰り返し先生に言われていたのが『様式美』でした。
日本舞踊=様式美。なんのこっちゃ。と思っていたのですが、日本舞踊は先生の踊りのコピーから入ります。一つ一つの動き、首の角度、腰の位置、姿勢、全て先生の動きは美しい。それを見て真似してもどうも自分は変。。首の角度なのか、手の位置なのか。しかしピタッとハマる瞬間もあるのです。それは
あるべき形をキチンと取れた時、日本舞踊の『美しい』という形を体現出来た時です。個性や表現はその流れの中で滲み出し、溢れでる物なんだなぁと、先生の踊りを見ていて思ったのでした。
そしてナレーションに当てはまる所もあって、まず全体的な作品の構成や形、流れをを捉える事から始めて、表現の仕方はその人それぞれの個性や型の仕方を学び、組み合わせ自分と融合させて行く。
これは私の解釈なので違うという方も当然いらっしゃると思いますし、数年後には私も何を言ってたんだか、となるかも知れませんが少なくとも
今の私はコピーをすることで全体的な『形』と、その人それぞれの『型』を知ることが出来ました。
これって凄く重要な事です。今までのやり方では見えていなかった部分が直ぐに発見出来、振り返ることが出来ます。
売れている人達には、売れている理由がある。
自分と人との違いを自分で実感すること。まずはそこからです。