5回シリーズで受講している「コピーセミナー」。このセミナーを受けるまでは、恥ずかしながら、「コピー」なんて、すぐできるのでは?……なんて思っていました。そんな甘~い姿勢に渇を入れられた“気づき”があったので、レッスンの内容と私の心情を辿りながら、一部ご紹介させてください。
【できている“つもり”~先入観の弊害】
第2回の山上先生の座学。3枚の紙が配られました。台本がパソコン打ちされている1枚と、真っ新な紙が2枚。「一部を、白い紙に書き写して」と山上先生。
ハイハイ、わかりました。花の命ははかない。人の命もまたはかない……
1分程で書き写しは終了。誤字もないし、我ながらきれいな字だ…。
ところが…!
なぜか、ほかの人は、数分たっても必死で書き続けている。しかも「一文字だけ書けた人~?」という質問に、幾人かが手を挙げた。「なになに?字、書けないの…?!(そんな訳ない)」と私はギョッとする。
そこで、次。
「台本の紙を逆さにして、もう一枚の紙に書き写して!」と先生。逆さにすると………
ん?!なんか違う。例えば「人」という字。今まで人間(ヒト)という意味で捉えていたのに、逆さにすると、単なる二本の曲線に見えるではないか!
まず、2本の線(輪郭)を書いてみる。さらによく見ると、明朝体のその文字は、ハネやトメ、左右の太さのバランスなどが違う。しかも、書き進めれば進めるほど、細かな違いに気づかされる。
そうか…これは、ナレーションのコピーでも、同じか!!私は、最初の書き写しのように、我流の超アナウンス調で、しかも雰囲気だけ真似て、自信満々でいたのだ。でも、「求められているコピーはそうじゃない」。文字にハネやトメ、太さ、バランスなどがあるように、ナレーションにも、一言の中に高低、声色、母音の残し方、強弱など、幾つもの技があるのだ。
私は、急に自分が恥ずかしくなった。
でも実は、この“文字の書き写し”。そんな先入観や勘違いに気づくだけでなく、もっと実践的な効果もあるそうです。それは、Lモード(左脳)よりも、Rモード(右脳)が優勢になること。私達は、無意識に、言語(意味)による情報処理が得意なLモードで読んでしまう。でもRモードにするで、意味ではなく、感覚的に捉えられるとのこと。
山上先生曰く、コピーは「脳の右側で読め!」
私は、先生に騙されたと思って(!)、ひっそり実践。最初は、いつも通りコピーの読み練習をし、もうこれ以上、何も聞こえないと行き詰まったら、例の文字の書き写しを15分ほどします。そのお陰か?!今まで聞こえなかった音(例えば、単語の前のNの音や、最後の母音など)が、だいぶ聞こえるようになった気がします。たった1分のアバンでも、実は技の宝庫なんだと、今は感じています。
【番組作りの道理を知る】
もう一つ、山上先生のレッスンでは、番組を見ながら、主役をどう見せたいカットなのか、どんなストーリーで見せたい編集なのかなど、作り手の思いと、撮影、編集の技について、解説をしていただきました。驚いたのは、小さな文字でビッチリ、6ページにも及ぶ台本おこし。
私は以前、番組制作の仕事をしていましたが、30分の番組の起こしは、気が遠くなる思いです。本気で取り組むってこういうことだと、またも気づかされた気がしました。
私は、30分番組の起こしにはまだ挑戦していませんが、コピーをする部分だけは、毎回、台本にしています。ナレーションを書き起こす、次に映像を書き起こす。どのカットで何を読んでいるのか、それぞれをリンクさせる。接写だけが続く単調な絵の時は、どう読んでいるのか?出演者の表情は、どんなトーンなのか?だから、こう読んでいるのか…。
映像を知ることで、表現の意味も深まる上、たとえ練習の一本であっても、台本にすることで作り手側の意識になれる、これが大事なのかなと思います。
コピーセミナーも残り2回。“気づいた”だけでは意味がないので、いかにコピーの実践に活かせるか…練習あるのみです!!
土曜ベーシック 野口