ローカル王子は、領土を赤く染めるチューリップを見ていた。
だが、その表情にいつもの明るさはない。時折、タメ息をつきながら頭を横に振っている。
3月末、ネクストコースの最終授業を終え、スクールバーズを勢い良く飛び出していったハズの彼の身に何が起こったというのか?
この数週間、確かにいろいろなコトがあった。
●第一週
狩野さんからオーディションのお話をいただく
内容は、
・大手飲料メーカーのCMナレーション
・2タイプのサンプルを制作して送ってください
・提出期限は5日後
というもの。
プレゼン用の仮ナレ&BGM入りの動画ファイルを送っていただけたので、それを繰り返し見て、全体の雰囲気を感じ取りつつコメントを書き出しました。
そして、ナレーション収録に続いて編集をこなし、翌日にはお送りしました。
すると、スグに狩野さんがお電話をくださいました。
『アレって、2つとも同じものだよね?』
うーん、自分では変化をつけたつもりでした。しかしそれは、勝手な思い込みで設定した狭~いストライクゾーン目がけて、ただ2回ボールを投げただけでした。
しばし反省、のち再提出。
そして数日後、ローカル王子のもとに敗戦の報が届いた。
“ドヨン”とした気分で週末を過ごす。
●第2週
この週は、以前コチラのブログでご報告いたしましたゴールデンデビューの日が待っている!
期待に胸がふくらみます。
そして迎えた当日。
ハードディスクプレイヤーは絶好調!すでに王子の命じるままに高画質での書き込み作業を開始している。
テレビ画面には、見覚えのあるロケ現場が映し出されていた。
しか~し、スピーカーから出る音声を耳にしたローカル王子はつぶやいた。
『アリャ、僕って、こんなに声が高かったっけ?』
ロケ当日、現場周辺にヘリウムガスが大量に発生していたのだろうか・・・?と、ムダに1行使うまでも無く、それは女性ナレーターの声でした。
という訳で、残念ながらローカル王子はゴールデンデビューならず!!
“ドヨヨン(ドヨンの比較級)”とした気分で週末を過ごす。
●第3週
再び、狩野さんからオーディションのお話をいただく
内容は、
・大手化粧品メーカーのCMナレーション
・2タイプのサンプルを制作して送ってください
・提出期限は・・・・5時間後
・間に合わないようなら、前に預かったサンプルを提出します
というもの。
う~ん、時間がありません。そして、今回は前のようにプレゼン用映像もないので、傾向と対策が全くわかりません。
今回はサンプル制作は難しいかなぁ、と思ってたトコロ、狩野さんからの再びのお電話で、メーカーのホームページで現在オンエア中のCMが見られるコトを教えていただきました。
よしっ、やるぞ!!あっ、もう20分も過ぎてしまった。急がねば。
ホームページで視聴可能ないくつかのCMを再生しながらコメントを拾う~~声の収録に適した静かな場所を求めてさまよう~~数テイク録音~~BGMの選曲(初夏用なんでサンバにしました)~~最終のミックス~~と、こんな流れで作業をしてたらタイムアップ!!
そして、ローカル王子の音声ファイルは光ファイバーケーブルに吸い込まれていったのであります。
そして数日後、ローカル王子のもとに敗戦の報が届いた。
ドヨヨ~ン(ドヨンの最上級)とした気分で週末を過ごす。
今、ローカル王子の目の前には、とてつもなく高い壁がそびえている。さらに厄介なことには、横にも長いようで迂回することもできそうにない。
これは、白馬を自在に操る西方騎馬民族のローカル王子を阻む“万里の長城”なのか?
この高さに比べれば、これまで必死に乗り越えてきたのは、限りなくバリアフリーに近い“段差”程度なのだと思います。
ここまで3週連続で歴史的大敗を喫したローカル王子は、彼にしか認識することができない高い壁を前に、ただ呆然と立ちつくすのでした。
つづく