セミナー用に書き起こした原稿と向かい合うと、いつも愕然とした。
プロは凄い。
同じ文字列を私はただ読み上げ、プロは自由にプレイしている。
その溝の深さが厳然と否応無しに突き付けられ、コピーをすればするほど自分の無力さを痛感した。
コピーとは決して音を真似る事ではない。
音を真似る事に囚われると、生(き)の原稿から文脈を掴む事が出来なくなる恐れがある。
お手本を聴いていないとどうプレイしていいか分からなくなるのだ。
私は耳で聞いた音ならピアノで再現出来る。
しかし、真っさらな楽譜を初見で曲想を掴んで演奏するのは全くの不得手だ。
お手本を聴いていないからである。
セミナーの最初は、ナレーションでもそうなってしまうのではないかという恐怖感に付き纏われながらだった。
では、バーズで言うコピーとは何か。
私は、「なぜプロはその表現を選んだか」という答えを探る事で、番組の持つ仕組みを浮き彫りにする勉強法だと思う。
その為にキューシートを作ってみる必要があり、プロのプレイは「その場合に於ける表現の一つ」として自分の抽斗に蓄積し、ケースバイケースで取り出せる様にしておく必要がある。
これらを常に行えば、どんどん抽斗の数が増え、プレイの幅が広がって行く。
それがバーズで言うコピーだと思った。
「音が取れている」と先生方から言って頂けたものの、自分がやっているのは独りモノマネ大会じゃないかとビクビクしていた。
音を真似る事に力点を置き過ぎていないか怖かった。
その度にあおい先生が仰った「コピーは遊び」と言うキーワードに助けられた。
肩の力を抜いて、
「この表現ステキだなぁ」と素直に感じ、
「どうやってプレイしているんだろう」と興味を持ち、
「どうしてこう表現したんだろう?」と疑問を抱き、
「今度使ってみよう」と思う。
この繰り返しだ。
今回はコピーチェックなので、表現の意図を先生方から解説して頂けた。
私の次の課題は、それを自分で見抜くこと。
まずキューシート作りから始めようと思う。
「やるヤツはやるし、やらないヤツはやらない」のだ。
秋8B土山浦