秋8Aの里見です。
先日の授業はスクールバーズ卒業生であり、現在フリーで活躍中のトビー上原さん、よしいよしこさん、下山吉光さんをゲスト講師にお迎えして、営業の姿勢やご自身の経験をお話しして頂く「営業座談会」でした。
我がクラスで営業経験のある者はわずか数名。
私もナレーター歴はそれなりにあるものの、営業経験は皆無。
故に、営業という未知のアクションに対する漠然とした不安感やプレッシャーは、多くの生徒が抱えていました。
とは言え、今までの授業でマネージャー視点での営業のノウハウは教わっていたので、得体の知れない存在だったエイギョウという名のモンスターは、徐々に輪郭を帯びてきてはいました。
そこへ、プレイヤー自らの体験談。
新たな知識や具体的な情報を詳らかにして頂いた事で、立ち向かう勇気が湧きました。
最初はトビーさんから、CM営業における光と闇の両側面から、刺激的なお話。
ひとつは、バーズの元生徒さんが、ゼロから出発してわずか数ヶ月で自分の望む仕事をゲットしたというエピソード。
明確な戦術と、情熱から来る大胆な決断が幸運をも引き寄せた。
オリエンテーションでお話のあった、「運は勢いのある人が好き」を体現した好例です。
自分のやりたい事を「夢」ではなく「目標」として捉え、実現する為には具体的にどうアプローチするか。
その方法をしっかりと組み立てて、あとは恐れず突っ込んでゆく。
これが正しい営業のスタンスなのだと学びました。
もうひとつは、仕事を餌にしてフリーのナレーターを手玉に取り利権を横取りする、不貞の輩の話。
これを教えて頂いたのは本当に有難く感じました。
そういう人間の存在や、関わってしまった時の対処法を知っておけば回避したり、慌てる事なく被害を最小限に抑えられますからね。
「なにそれ怖い」と感じる方も多いでしょうが、自分はこのお話を伺った時、愛読している漫画「ちはやふる」での台詞を思い出しましたよ。
「自分がこれと決めて飛び込んだ世界で、知らなくていい事なんてひとつもないのよ」
やすやすとうまい話に乗ったり、仕事の質より量を優先すると自分の商品力を貶めるだけでなく、他者に利用される危険性も出てくる。
「自分」というブランドを確立する事、キャスティングの仕組みを理解する事は交渉時の武器となるだけでなく、身を守る盾ともなるのだと教えて頂きました。
続くよしいさんのお話はVPについて。
自分は今までのキャリアの中では比較的VPが多かったのですが、それゆえの盲点もある事に気づかせて頂きました。
よしいさんの仰る通り、VPではストレート読みを求められますし、表現上の「遊び」を差し挟む余地はかなり少ないです。
でもよしいさんは営業をかける時、あえてバラエティタイプのサンプルもお渡しした事もあり、結果としてお仕事に繋がったそうです。
あらゆる仕事にセオリーは存在しますが、それを固定観念で捉えず、あえて逆の手法を取る事で印象に残る。
その喋り方が直接採用される訳ではないにせよ、ある時ふと思い出せる様な存在になる。
それがキャスティングにおいて有利になる可能性となる。
つい目先の、しかも技術的な事にばかり考えが走ってしまいがちな自分には大変参考になりました。
バラエティの様な自由度の高いお仕事でなく、保守的でマジメなVPでそれをなさったからこそ、自分には響きましたねー。
その他、使える営業テクニックや失敗談など、色々教えて教えて頂けたのも嬉しかったです。
下山さんは実際に営業活動に使用しているアイテムを見せて下さりつつ、主に営業の目的についてお話しして下さいました。
すなわち、「人との繋がりを大切にし、パイプを太くしていく」事。
ともすれば、技能的な側面ばかり意識がいきがちですが、ただ仕事がもらえた、ただ現場でいい仕事が出来たと喜ぶのではなく、「次に繋ぐ」事が最重要。
その為には思い切った投資なども惜しむべきではないとの事でした。
ナレーターとしてのスキルに加え自身の「人間力」を高め、同じモノを作り上げていく「仲間」として認めてもらえる様になる。
互いの必要性や信頼感を構築していく活動、それが「営業」なのだと。
ここが、自分を含め営業未経験者が最も不安を感じる要素なんじゃないでしょうか。
見ず知らずの人に受け入れてもらえるか。
よほどコミュニケーション力のある人でもない限り、および腰になりがちです。
でも、下山さんは「やるしかないんだ」と仰いました。
ありきたりな表現ですが、人生に「出来る/出来ない」という選択肢はなく、やるかやらないか、それだけなんですよね。
「己の芸ひとつで飯を食う」
とても甘美な響きです。
だから読みのスキル、表現力を向上させれば、いつか自分もいっぱしのプロとしてやっていけるのでは…。
そう思ってる方は多いでしょうし、自分もそう思ってました。
いや、そう思いたかった。
何故なら、カッコいいから。
でも結果的に事務所に所属して13年間、自分のナレーター人生は宝くじみたいでした。
具体的なビジョン、明確な売り方、そういったものが事務所にも自分にもなく、ただ「来た仕事をこなし、次の仕事が舞い込むのを待つ」その繰り返し。
ウチの事務所もご多分に漏れず個人営業は禁じられていましたから、スキルを研鑽する以外にやれる事がない。
それを聴かせる対象すら絞ってないのに。
だから、フリーになって思うんです。
「マイク前で喋る以外にも、仕事に辿り着く方法が色々あるのは幸せな事なんだ」と。
冒頭に書いた通り、確かに未知の領域に踏み込むのは今でも不安です。
白状すると、自分は鈍臭いところがあって、せっかくのチャンスをむざむざ逃したりする事多いし。
でも、売れる売れないは誰にも判らないけど、やれる事を自分なりに徹底的にやる。
それは確実に自信になり、あらゆる面で肥やしになる。
そう思うと、ちょっと楽しみになってきた…
この日以降、そんな事を考える様になりました。
トビーさんよしいさん下山さん、ありがとうございました!!