ブルース・リー主演の有名映画「燃えよドラゴン」の序盤にこんな台詞が出てきます。
高僧 「お前の理想とする最高の技とは何か?」
リー「"技"を持たぬ事です」
最近久しぶりに見てとてもハッとさせられた言葉でした。
優れた技を使えれば果たしてその人は優秀でしょうか?
当然使えないよりは使えた方が良いでしょう。
しかし結局はそれを活かせなければ意味がありません。
これはナレーションにも言えることではないでしょうか。
私たちはバーズで「コピー」や「型」といった"技"を学んでいきます。
これは大変必要な技術ですが、では「型」を身に付ければ素晴らしいナレーターなのでしょうか?
恐らくそうではありません。
「型」だけでは何となくそれっぽい読みができる人でしかないのです。
そこから先は各個々人がパーソナルで持っている部分を模索して見つけていくしかない。
それがきっと"守"から"破"への行くために必要な要素なのだと思います。
その秘訣に近づくためのヒントを授けてくれるのが高川裕也さんの「ハードドキュメント」の授業です。
前回の逸見さんが「"破"に寄った授業」とするならば高川さんは「"破"に振り切った」授業と言えるでしょう。
そして"守"から"破"へ行くことを今期の目標としている自分にとっては正に試金石とも言える授業です。
高川さんのレッスンで一番のポイントになるのは、
原稿の内容と読み手である自分が関係性を持つこと。
そのため原稿より先に映像を見て自分なりの関係性を見出だします。
それが血の通う、生きた自然な読みになります。
気をつけなければいけないのは関係性は「持つ」だけでそれを「表現」するのではないと言う事。
これを表現しようとしてしまうと、自分の持つ関係性を一生懸命やろうとしてしまう人の言葉となってしまうのです。
一年前、高川さんの授業を受けたときの自分は正にこれでした。。
高川さんから読みから関係性を感じないとバッサリでした。
今回はその反省を踏まえ関係性は見つけた上で、余計なことは考えずに映像から受ける情感を感じながら素直に読みました。
その結果高川さんからは「一年前と見違えた!関係性から文字情報以上の興味に変換されてて良い!」と仰ってくださいました。
正直涙が出るほど嬉しかった。
このバーズ二年間の中で最も嬉しかったと言っても過言ではありません。
しかしこれはこの一年でバーズも含め色々な経験があったから導き出せたと思っております。
まだまだ応用は効きませんし、落とし込みきれていない部分、精進しなきゃいけない部分も沢山あります。
でも間違いなく自分はこの一年で成長できたと素直に受け止めたいと思います。
高川さんの授業は二年間でたったの二回でしたが、
より高みを目指す上で必ず避けては通れない、とても大切な事を教わりました。
高川さんありがとうございました!
モード久保多聞