あおいさんによる『旬の実技』

17期秋モード土の斉藤あずさです。
2月10日はあおいさんによる『旬の実技』、全4回のうちの3回目でした。

あおいさんの授業は、毎回初見の原稿でやるため非常に実践的です。
初見でやる授業は実はそんなに多くないのでとてもありがたいです。

今回はゴールデンのドキュメントバラエティで、原稿は8枚(ただしこれでも番組の半分くらい)。
これを渡されて、数分で全体の構成を把握しなければいけません。
主な画替わりがどこになるか、そしてそのポイントでナレーターに求められていることは何か、を読み取らなければいけない。

生徒の読みに対して、あおいさんが、解説やアドバイスをしていくので、
自分の原稿の読み取り方が正しいかどうかを照らし合わせながら聞いていました。

パートごとの意味合い(人物紹介なのか背景説明なのか等)、あるいはその切り替え。
文中の表情・ニュアンス(緊迫感や、めでたさ等)。

私は…うんうん、読み取り方は合っている。
(たぶん、みんな、読解はほぼできてはいるのではないかと思います。)
問題は、それがちゃんと伝わる表現ができるか。

皆それぞれに苦戦しました。

比較的頻出したアドバイスは、

・音の幅をちゃんと持たせて、自然な抑揚をきちんと身につけること(音の幅がみんな狭い。たとえば窪田等さんはストレートな読みで、でも音の幅を1オクターブくらい効かせて抑揚を大きくしている。  語頭語尾変化の大きいナレーションだけではなく、そのようなナレーションもぜひミラーリングした方がいい)

・意味にそった音の上げ下げをやらないと、聞き手の頭に入っていかない(ex.1950年代から1970年代まで続いたベトナム戦争、等)

・自分の感情を伝えるのではなく、聞き手をそういう感情にさせる

・母音だけで原稿を読む発声は必須(コアでも習う内容ですが、やはりこれをちょっとやるだけですごく良くなるし、これができてこそ、乗せたいニュアンスが乗せやすくなる) )

・基礎体力作りの運動は必須(あおいさんは35歳ころから始めた。ナレーションには瞬発力が必要)

でした。

読む順番が後になるほど、既出事項は踏まえて読めなけばいけない(どの授業でもそう)、
わたしは自分の頭の中では、読みは比較的具体的に組み立てられていました。
しかしいざ自分の番では、緊張もあってとはいえ、平べったくなってしまいました。
「はぁ、これが今の私の初見力なんだな…」と思い知りました。今ナレーションの仕事をしている人にどんどん引き離されてしまう危機感をシンプルに感じました。

初見でやるからこそ気づきにくいクセ(たとえば語尾が伸びてる、等)や、意識が薄くなっている部分にあおいさんが切り込んで指摘をするので、みんな自然とうなずき方が大きくなり……3時間が一瞬で過ぎていきました。

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「とにかく、高いところを見て歩むこと。
低いところ見ていたら、低いものさえつかめないよ」というあおいさんの考え方。
アフターでは、あおいさんがベルベットオフィスに所属するまでのお話をじっくり聞かせていただきました。

「高いところ見ろ」、それは、目標設定の仕方の話ではありません。
ナレーターとして売れ続けることとは、いかに道なき道を行くことか。
そして、その道なき道での一瞬一瞬で、倒れないために頼れるのは自分だけ。
あおいさんの今に至る経緯の話をきいて本当にひしひしと伝わってきました。

残り1回の授業を、そして指導いただける機会を大切にしたいなと思いました。

ありがとうございました。