(この文章は2012年2月10日配信のナレーターメルマガを転載したものです。)


マネージャーの感性って?


 
山上:1行をどう読むかがプレーヤーの感性だとすると、マネージャーの感性というのはどういうことになるんでしょう?
 
狩野:そりゃマネージャーにもそれぞれ好みの方向性はあるけど。人間だもん(笑) 声の響き方から、リズム感、感情の乗せ具合、文章の理解度。何が好みかというのは一般化して言葉にはできないけど。みんなそれぞれ好き嫌いは違う。
 
義村:そのマネージャーの人生の数だけ感性は違うよ。私たち3人だって違うし、ディレクター1人1人も違う。重要なのは「いまのテレビのトレンドのなかでその声が勝ち抜けていけるのか」という視点。
 
武信:そうですね。自分の好みに留まらず、どのディレクターがどんな声が好きかまで理解して売っていければ理想なんですが。
 

狩野:売り手としてはそれは大切よね。自分の感性で勝負することは間違いないんだけど、同時にプロのマネージャーとしては自分の感性にだけ留まっていてはいけない。プレーヤーと創り手の橋渡しとしてベストな仕事をするために両方の感性を理解できてることかな。

 
山上:ところで、みなさんにとって新人の抜擢ってどんな時なんでしょうか!?
 
武信:ギャラが無い場合が新人のキャスティングで一番多いですね。もちろん一定の基準以下は断ることもありますが。先方も新人でOKという暗黙の了解でしょうし。そのときは思いきって新人を投入しています。
 
狩野:あとトップナレーターとの組み合わせもあるかな。読みの方向性が分かりやすい、インパクトのある新人が入れやすいかな。
 
義村:創り手にイメージさせやすいからね。あとvelvet,AXTOのプレーヤーの守備範囲じゃないポジションにいてくれると入れやすいかな。
 
山上:あー、 むむ、それは簡単じゃなさそうですが…。 では普段は、プレーヤーはマネージャーにどんなアプローチをしていけばいいんでしょうか?
 


コミュニケーションから発想する


 
武信:僕は実技クラスの「スタジオ実習」で生徒たちの声を録音していて、表現や技術はなんとはなく把握しているつもりです。でもそれプラス、その人の【人柄】も知っておかないと思い切ったキャスティングはできないですね。だからもっと気軽に話しかけて欲しいです。
 
狩野:「猪鹿蝶」では外部の人もキャスティングするけど、必ずしっかり話す機会を設けています。やはり話してみないと人柄はつかめないですね。 養成期間中はスクールバーズの生徒たちとアフターバーズで話すのでつかみやすいかな。
 
義村:プレーヤーと接する時は、できるだけ広く【感性】=【人柄】をキャッチするように務めてます。でも視野は180度以上はなかなか広がらなくて、見落とす人材もいてそれが残念。 人と人なので相性はあるし、感性と感性の相性もあるので、いたしかたがないことなんだけど。
 
山上:例えばアフターバーズで「マネージャーと話せるチャンス!」と思っても、実際何話したらいいのか迷っちゃう人も多いんじゃないかな。
 

武信: 具体的な質問があればプロのマネージャーとして応えることができるんですけどね…。

 
山上:うーん、でも実際は、漠然とした焦りしかなくて…その場でむりやり話題を探してどうでもいい質問しちゃったりするんです。
 
狩野:はは。新人だもん、そんなものよ。礼儀正しすぎたり、強引アピールだったり。自然な状態がいいんだけどなかなか難しいもの。 鎧でおおっていたり、猫の着ぐるみつけてるのはいただけないけど。 いろんなアクションのなかから人柄や個性はにじみ出てくるんじゃないかな。
 
義村:実は”的確な質問ができる人”というのは、本当は答えのすぐそばまで来てる人だから。そこまでくればもうすぐ。とりあえずは漠然とした質問でもいい、そしたら「漠然としてる位置にいるんだな」とわかるので。そんなプレーヤーたちの、抱えている課題を引き出していくことも、私の役割かなと考えています。
 
狩野:ちょっと優し過ぎませんか(苦笑)えっと、プロ同士なんだから雑談だけだと、もったいないかな。たとえば「売れたいんですけどどうすればいいですか?」とか漠然とした質問には漠然とした答えしか出せないのが現実なんです。
 
武信:「ボイスサンプル創ろう」「番組研究しよう」くらいの返答になりますよね。
 
狩野:「ここに売りたい、でもこういう障壁があるんだ」という風に踏み込んだ質問なら、こちらももっと踏み込んで答えられる。
 
武信:それなら「どこにどんなボイスサンプルを誰にぶつけてみれば」といった具合にね。
 
義村:まあそれは理想型で、そこにたどり着くまでの道筋を、共にたどっていこうってことだよ(笑)

 
山上:うう。僕が思っていた以上にコミュニケーション能力と、ビジョンが大事だったんだなあ。
 
狩野:あと困るのは何度も同じ質問をされることかな。その人のなかでグルグル回っているのだろうけど。アドバイスが入っていかない感じ。
 
武信:相手のことを聞き自分のことを適切に話せるか。基本ですが、だからといって簡単なことというわけではないんです。自分の中で課題やビジョンを深めていってないと出来ないことなんですよね。学長の「課題を引き出す」とは深めていく手伝いということですよね。
 
義村:そうそう。自分で気づくためのアドバイスができたら嬉しい。
 
狩野:新しい提案をしてくれると、アプローチのありかたとしては嬉しいですね。ボイスサンプルだったり営業戦略だったり。アドバイスに対して提案で返してくれるとコミュニケーションがより深まる。
 
山上:それもまた難度が高いですね。結局コミュニケーションあってのキャスティングということなんですね。
 
義村:あんまり敷居を高くしないでもいいよ。僕は希望や夢を話してくれればいいかな。プレーヤーと対話して、その人のやりたい方向性を理解していく。【価値観や感性】が分かっていくことで【記憶に残りやすい】から。その記憶がキャスティングに大切な要素となってつながっていきます。それに希望や夢を語る新人たちと話しているとパワーをもらえるんです。それがマネージャーを動かす力だし、キャスティングの発想をふくらませていく。
 
山上:むむむ、「キャスティングの発想」についてお伺いしたいのですが、今回も誌面の都合でここまで(涙)次回2/23配信のナレーターメルマガの「第3話」ではさらに切り込んでいきます!乞うご期待!
 

 


この文章は2012年2月10日配信のナレーターメルマガを転載したものです。

 
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