(この文章は2012年2月23日配信のナレーターメルマガを転載したものです。)


キャスティングの直観 。イメージが喋りだす


 
山上:マネージャーたちはキャスティングの時にどんな発想をふくらませているんでしょう?
 
狩野:たとえば猪鹿蝶から、ある新人女性をNHKのドキュメントにキャスティングした時の話だけど。スタッフから電話をもらった段階ですでに、そのナレーターが現場にいる姿が想像できてたんです。
 

義村:そうそう!いいプレイヤーはビジョンがクリアにみえる瞬間があるんだ。 候補に出す段階で決まると確信できる瞬間。 イメージができた時は高い確率で決まる。ゾーン体験と言ったらオーバーだけど。

 
武信:イメージができない時は悩みますね。かなり集中しないとイメージが湧かないときが多々あるんですが。頭の中のデータベースをあーでもないこーでもないと巡る作業です。
 
山上:その時に、「他社のプレイヤーとの比較」や、さきほどの「人柄」「感性の記憶」などが大事になってくるという訳なんですね。
 
義村:そう。イメージの構築にはすごく集中する。スタジオバーズとして山上からの意見なんかも聞いたりしてね。でもそれはいつもありきたりのキャスティングにならないように、神経を使ってるから。それがマネージャーの重要な仕事なんじゃないかな。
 
狩野: キャスティングで頭をひねってるとき「思いだせる」ってことが大事かな。あ、そういえばって瞬間。些細なことがつながることもあるから。ちょっとしたひねり。服装や髪型。聴いてる音楽、見てる映画や本。感性が見える人は思いだしやすいのかも。どこかで使ってみたいって思う。

 


感性のデータベースとファンタジスタ


 
山上:あのーボイスサンプルでのひっかかりはないんでしょうか?(^_^;)
 
狩野:あーもちろんそれが大前提よ(笑)
 

武信: 最も重要です! 提案型のボイスサンプルは思いだしやすいかな。たとえばボイスサンプルに入れているナレーションが、番組の中でどう使われるかを、プロの水準で考えているかどうか。 番組をイメージしやすいサンプル創りをしてくれると、オファーが来た時に候補にしやすいです。

 
狩野:いままでの話の流れはプレーヤーがマネージャーへ、どうアピールするかみたいになってたけど、本当はプロデューサーやディレクターへのアピールが大切なんですよ。きちんとPやDそして番組に届くメッセージかどうか。私たちマネージャーの仕事はキャスティングという形での番組への提案なんだと思う。
 
武信: その意味ではPやDの要望のど真ん中だけでは面白くない。 学長からはいつも要求を超える「真逆のキャスティング」をと言われてます。だからオファーの意表をつくことはいつも頭の片隅にあります。
 
山上:真逆のキャスティング?!それってどういうことでしょう?
 
義村:キャスティングに驚きを持たせるってことかな。それは創り手へのメッセージ。渋く作るイメージにポップな読みをいれていくとか。ぜんざいに塩を入れると甘みが増すようにね。でも創り手の感性との相性もあるからとっても難しいところ。それでもあえてチャレンジしていきたい。
 
狩野: オファーとはあえて違う感性の視野は大切。トッププレーヤーを軸に、変化をつけられる感性のプレーヤーをぱっとおりまぜてみる。もちろん半端な実力のレベルの話ではないですよ。
 
義村:新人を生み育てていく原動力は、大胆でクリエイティブなキャスティングなんだよ。マネージャーの感性のデータベース。その良し悪しがマネージャーの質といっていいとおもう。
 
武信:身が引き締まります。
 
山上:感性のデータベースはプレーヤーにも大事なことですね。大胆なキャスティングにかなうように、覚悟を決めて準備しておかないとですね。同じくそれは、サンプル創りでも肝に命じます。
 
義村:創り手がどんな番組を創ろうとしているのか。そこに想像力を働かせること。ビリヤードのようにその軌跡を計算しながら制作者のコーナーポットに入れる。表現の種類や変化を選んでいく。クッションを使ったりジャンプさせたり。マネージャーとナレーターの息があった時、美しいショットが決まるんだ。

 
山上:マネージメントファンタジスタ!ですね。でも新人には高度すぎてどこから始めていいのか…
 
義村:ブレイクショットは思いっきり強く突けばいいんだよ。新人はそれでいい。振り切る表現がいい。いつかきっと制作者のこころをつかむ軌跡が見える時が来るよ。目をこらせば見えてくる。
 
山上:う~なるほど。今回はキャスティングについて詳しくお聞きしました!では皆さんありがとうございました!
 

 


この文章は2012年2月10日配信のナレーターメルマガを転載したものです。

 
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