第10話 「ゲームのお仕事の裏事情」


この物語はナレーターを目指す迷走の物語である。おおむね事実。



<R-18のお仕事>


黒山椒(くろざんしょ)社長「ゲームのキャスト。決まったから」
逗子丸「ゲ、ゲーム….!!!」
なんという甘美な響きだろう。当時ポケモン・ガンパレ・サクラ大戦の例を挙げるまでもなく、現代ゲームといったら当然メディアミックス!ドラマCDにイベントにアニメ化だ!これでひと山当てるのだ!!

 キャラは帝国軍総統(実はヒロインの父)
キタコレ!ダースベイダー的なやつ!根強いサブキャラ愛を持つマニアに長く愛されるポジションに育っていくかもしれないじゃないかーー!ぐふふふふ。
しかもヒロインはーーーーーおっ、僕でも知ってる、最近ネットやイベントで良く見るお色気系声優さんだ!

タイトルは、「銀河痴女伝説ー巨砲一発!!」。。。ぽっかーん。。。
そうこれはつまりエロゲ。解説:エロゲとは子供が見ちゃダメな大人だけのゲームのこと。

(ふくらんだ妄想のシャボン玉はパチンとはじけた。いやしかし、これだって立派なお仕事だ!預かりになって、初仕事を頑張ろう。でも、どうしよう。“あーん”とか“いやーん”、ぼ、ぼく言えるかなぁ)

黒山椒「逗子丸!話を聞いているのか!」
逗子丸「きゃいん、スミマセン!」
黒山椒「それで、、、名前はどうする?」
逗子丸「名前、とおっしゃいますと?」
黒山椒「18禁作品に出る時は、裏の名前を使うのが常識なんだよ。同じ名前だと、表の仕事をする時に問題になるだろう。だから有名声優もみんな裏の名前を持っているんだ」
逗子丸「そういうものですか。(確かに、親には言えない)…ところで“あーん”とか“いやーん”の声はどうすれば…」
黒山椒「お前の原稿にそんなものは無い」
逗子丸「ですよ、ねー」



<裏の名は>


そんなこんなで、逗子丸弘。預かり声優としての初仕事は正体を隠した覆面声優としての裏デビューであった。社長に付けてもらった裏ネームは「はじかみ太郎」

はじかみ「エネルギー充填。ワシの!ギャラクティカ火縄銃をくらえーーー!!」
桃尻桃子「あーん。いやーん。だめー。うふーん」ドッカーン
はじかみ「うぎゃー、!ぐ、ぐふ。。。おのれーー!しなしなー」
収録はあっさりと終わった。役名は偉そうだが雑魚キャラだった。

桃尻桃子、実の名は、同期の情報通ニーハイピンクだった!なんと彼女はエロ物の『スペシャリスト』として、すでに数本の作品をこなしていた!そーいうことだったのか。なぜ彼女が昇格できたのかが、すっきりと理解できた。数作品に出ているということは「預かり預かり」から真の「預かり」へのステップを着実に歩んでいる。エロ専門声優だけれど、ピラミッドの階段に手がかかっているのだ。

彼女だけではない、安土は声優アイドルとして期待されている。ニーハイレッドに至ってはメインキャストとしてアニメに出てるというではないか!それに比べ、俺はまだ地下室を彷徨うミイラでしかない。早く早く、輝く太陽を見たい。

後日、完パケと称される出来上がったエロゲが逗子丸の実家宛に到着した。母親が受け取ったという。それ以来、母はなぜかよそよそしくなってしまった。

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