ナレーターとは

しっかりと自己の上に腰をすえ
自分の両足で立たなければならぬ

ナレーターってどんな仕事?

映像にあわせて喋る、『声の表現』です

声優のように「ドラマをつくり」、アナウンサーのように「正確に告知する」、表現と技術の両方が必要となります。
また番組ナレーションでは、その場で原稿を渡されて即座に読みこなしていくので、読むことの反射神経を磨く訓練も大切です。ナレーション収録(MA)は番組制作の最終作業。映像に生き生きとした躍動感や説得力を加えていきます。

地上波TV番組だと何百万人に「声で伝える」ことになります。ドキュメント、報道、バラエティ、情報、スポーツ、ほとんどの番組がナレーターの活躍の場です。片隅ではありますが芸能の一部ですので、TVの華やかさと共に競争のシビアさもある世界です。

『報道・ドキュメント』ではしっかりとした読みの技術が要求されます


その上で、アナウンサーの技術を超えた表現力も要求されます。特集コーナーではバラエティ寄りの表現も必要です。また『ドキュメント』では、俳優やタレントもナレーションを読むことが多くなりました。その中で競り勝っていくのは、簡単な道のりではありません。

『バラエティ・情報』はナレーターの檜舞台


番組を印象づけるタイトルコール。曲や商品を格好良く紹介するランキング。「この後すぐ!」といったあおり。出演者へのツッコミ。「一方そのころ……」といった狂言まわし。PR予告で引きつけ、告知コーナーでは正確に。多彩な表現や個性、そして最新の技術を要求されます。


15秒間ですべてを表現し、時代をリードする『CM』


ワンセンテンスに集中して創り込むことには、番組とは違うノウハウがあります。言葉への感性、そして声の存在感が要求される現場です。


番組以外では『VP(ビデオパッケージ)』


オンエアはしない映像もあります。一般的には企業紹介ビデオがあります。

ナレーターの楽しさ厳しさ

番組のカラーを決める存在

ある売れっ子ナレーターはこう言いました。「自分の声で何百万人もが、笑ったり、泣いたりしていることを想像するとゾクゾクする」
「番組のカラーを決める存在」といわれ、番組制作の最後に魂を入れる責任ある仕事です。だからこそナレーターは現場でリスペクトされており、新人でさえ丁寧に遇されているのです。

売れる売れないのエッジに立つ厳しさを覚悟して学ぶ事が大切

経済的にも他の声の仕事と比較すると恵まれていると言えます。事務所に入るという選択肢に悩んだりせず、フリーで仕事をしている人が沢山いることもそれが理由かもしれません。
また年齢の制限がないことも特徴です。もっとも遅く始められ、もっとも長く続けられる芸能はナレーションなのです。80代でゴールデン番組をもち続けることができる芸能はなかなかありません。

ナレーターとその他の声の仕事

声優
アニメや洋画の吹き替えをする。「セリフの専門家」として、言葉に感情をのせ、ドラマを表現しています。また特徴としてランク制によってギャラが規定されています。これまでは声優とナレーターの分化が進み、両立している人は少数派でした。現在では声優としてのキャラクターを評価され、「TVナレーション」で起用され始めました。今後も声優表現がナレーションに活かされる場が増えていくと予想されます。

アナウンサー
「情報を伝達する専門家」です。読みにおいては明瞭な発音やアクセント、一定のリズムで「正確に告知」することを重視しています。近年では、報道番組の顔出し部分をアナウンサーが、顔出しのない部分の多くをナレーターが読んでいます。アナウンサーは顔出しをする役割として、司会やレポーターもこなしています。声の仕事としてはVPなどを専門にやるかたが多いようです。

司会・イベントMC
お客さんを前にライブで読む仕事です。「台本を覚えることが必須」であることが他の声の表現との大きな違いです。司会は式典、結婚式、葬儀、イベントなど。イベントMCは広い会場で聞かせる独特の表現をしており、「(イベント)ナレーター」と呼ぶかたも多いのですが、TVナレーターとは読み・発声など違う点が多いです。

ラジオDJ・パーソナリティ
「フリートークの専門家」主にフリートークをしながら、音楽を聞かせていく仕事です。生放送も多いので、アドリブ的要素も多く要求されます。自由に語るのではなく、決められた原稿を読みこなしていくテクニックがナレーションには必要です。

朗読・読み聞かせなど
お客さんを前にライブで読む仕事です。話し言葉ではなく「書き言葉」を読んでいく表現力が必要です。映像とタイムの縛りがないので、TVナレーションとは技術や表現の方向性が異なることが多いです。